日本最高点到達
どれくらい眠ったのだろうか。
暗闇の中ごそごそという音とともに目が覚めた。
時間は午前0時から1時の間だったと思う。
何人かが行動を起こし始めていた。
富士山頂上で御来光を拝む為には
早く出ないと間に合わない可能性があるのだ。
次々に外に出ていく人達に焦りながら
登山の準備をして朝食の弁当を食べた。
外は空が真っ暗で霧雨が降っている状態で
ガスがかかって100m先も見えなかった。
それでも山小屋周辺はヘッドライトを
点灯させた登山者達の照明で眩しかった。
俺はヘッドライトが点灯することと
予備の電池、電球の場所を確認して
混雑しないうちに早く頂上を目指すことした。
外に出る時に昨日濡れた靴が乾いてなくて
掃き心地が嫌な感じだったけど、我慢する覚悟を
決めてを外に出た。
有料トイレの料金箱に100円を入れて
用事を済まして出発。
ここからは単独行動だ。
登っていて不思議に思ったことがある。
いつまでも8合目が続くことだ。
頂上や先に登った登山者が全く見えないので
永遠に終わりがないような感じがした。
雨で濡れた手足が冷たくなってきて
だんだん辛くなっていた。
軍手じゃない冬用手袋・靴下と簡易カイロ
でも持ってくれば良かったと後悔。
口が寂しくなったのでブドウ糖を口の中に
放り込みながら、もくもくと登り続けた。
空気が薄くなっているのか自然と
深呼吸を繰り返すようになってくる。
疲れてきたのか何回か立ち止まって休憩した。
次から次へと登山者が上を目指して
登ってくるのを横目で見てると
「俺も頑張らなきゃいかん」って思えた。
途中でヘッドライトの明かりが暗くなってきた。
くそ、電池切れかよ、面倒くせ~って思いながら
単三電池の交換をした。
最安のヘッドライトだと頂上に到着するまで
電池交換が必要なようだ。
9合目を過ぎて歩き疲れた頃に
登山者が大勢いる頂上に着いた。
頂上前に大きな鳥居を通ったけど、ここが頂上という
ハッキリとした感覚がないまま
「俺は富士山を制した~」と両手を上げた。
とりあえず第一目標達成。
ホッと一息ついた。
頂上は想像していた以上に人で溢れていた。
特にトイレ前には順番を待つ女性が
溢れていたので女性って大変だなって思った。
次は、お鉢めぐりをしようと思って
先に進もうとして左回りや右回り
を試みたが、山小屋などの建物周辺を離れると
真っ暗で道が全く見えずに
風が想像以上に強くて前進できなかった。
行き場を失ってしまって、これからどうしたら
良いのかよくわからなくなってしまったので
先に着いていた登山者のように
山小屋などの建物前で立つ場所を確保して
人の流れを観察した。
登山者の中には、頂上で御来光を
見る前に下山してしまう人達もいるようだ。
気持ちが落ち着いてくると、狭い頂上で御来光が
見られる時間まで長時間待たなければ
ならないことに気付いた。
十分な防寒対策をしてこなかったので
寒さが体に堪える。
(ガイドブックやインターネットの富士登山情報には
防寒対策について詳しい説明があったけど、想像
していた以上に寒かった)
雨が降った時のことを考えてなくて
余分な防寒着(手袋・靴下)を
持って来なかったのが悪かった
としか言いようがない。
立ったまま何もしないで待つ時間が辛く感じた。
どれだけ時間が流れたのだろう。
周囲が少し明るくなってきた頃に
山頂の売店が開いて
大量の登山者が中にどっと流れた。
俺は人々の熱気と勢いに圧倒されて
簡単に中に入ることができなかった。
食事を済んだ人達が外に向かい出して
溢れ出ている人が少なくなってきた頃に
座る場所を確保してラーメンと甘酒を注文して
冷えた体を温めた。
ラーメンは、何だこのラーメンは?って
思ったけれど、甘酒はとてもおいしく感じた。
「わぁ~」という歓声で外に出たが、薄い雲から
見えていた太陽がすぐに厚い雲に隠れてしまった。
結局、天候が回復しなかったので
御来光を拝むことができなかった。
残念だ。
今度は、お鉢めぐり。
天候が良くなってきたので
日本最高点を目指すことにした。
周囲の登山者の後を追って歩き続けた。
途中、富士宮口頂上付近の
こんなところに?ってところで
小さな子供(三歳以下)が一人で歩いていた。
いつも思うことだけど、子供の親は
こんなところで子供に不測の事態があったら
どうするつもりなんだろうって思った。
まぁ、他人の子だから・・・
俺が口出しできないけど、何かあったら
自己責任という言葉が頭をよぎった。
昔の観測所前にある急な坂を登って
なんとか日本最高点に到達できた。
ここが剣ヶ峰というところで
日本一高い場所(標高3,776m)だ。
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